今回は神世七世の五代にあたる意富斗能地神と大斗乃弁神について解説していきます。
この記事はこのような方にオススメの記事となっています。
- 意富斗能地神と大斗乃弁神について詳しく知りたい!
- 神世七世について知りたい!
- 意富斗能地神と大斗乃弁神が祀られている神社はどこ?
意富斗能地神と大斗乃弁神の解説をしていく前に、今回参考にした『古事記』から意富斗能地神と大斗乃弁神をはじめとする神世七世について書かれている部分を抜粋して紹介します。
次成、神。名國之常立神。次豊雲野神。此二柱神亦獨神成坐而隠身也。
次成、神。名宇比地迩神。次妹洦比智迩神。次角杙神。次妹活杙神。次意富斗能地神。次妹大斗弁神。次於母陀流神。次妹阿夜訶志古泥神。次伊邪那岐神。次伊邪那美神。
上件自國之常立神以下。伊邪那美神以前。并稱神世七代。
国史大系(7)より
ちなみにここに書いてある「妹」は女神を表しており、男神とは夫婦や兄妹の関係性だとされています。
今回の記事はこちらの文章や『日本書紀』を参考にして書かれています。
意富斗能地神と大斗乃弁神とは

まず初めに意富斗能地神と大斗乃弁神は意富斗能地神が男神、大斗乃弁神が女神として2神で対になる神です。
また、神世七世においては五代目に誕生した神でもあります。
神世七世や意富斗能地神と大斗乃弁神の意義については後で解説します。
「意富斗能地神・大斗乃弁神」という名前は『古事記』に書かれている名前であり、『日本書紀』第二段本書では「大戸之道尊・大苫辺尊」や別名「大戸摩彦尊・大戸摩姫尊」「大富道尊・大富辺尊」と書かれています。
意富斗能地神と大斗乃弁神の名前の意味などを解説するためには、先に神世七世と2神に意義について解説しなくてはなりません。
意義
神世七世
まず初めに意富斗能地神と大斗乃弁神も入っている「神世七世」について解説します。
神世七世とは『古事記』における国之常立神から伊邪那岐神、伊邪那美神までの12柱7代の神を表した総称です。
最初の2代(国之常立神、豊雲野神)は獨神のため1柱1代とし、宇比地邇神と須比智邇神からは男女神2柱を1代として数え合計12柱7代を神世七世と呼びます。
国之常立神と豊雲野神、宇比地邇神と須比智邇神についてはこちらをご覧ください。
宇比地邇神(うひぢにのかみ)と須比智邇神(すひぢにのかみ)とは【神世七世】
神世七世の存在意義としては伊邪那岐神と伊邪那美神の誕生をゴールとして、そこまでの過程を神々の生成によって発展的に表現したものと捉える解釈が多いです。
その過程の意味としては
- 国土の形成を表す説
- 地上の始まりを担う男女神の神体の完成を表す説
- 地上における人類の生活の始原を表す説
などがあります。
これから出てくる箇条書きの番号はそれぞれが対応していると思ってください。
この過程における意富斗能地神と大斗乃弁神の意義については次で解説します。
意富斗能地神と大斗乃弁神
神世七世における意富斗能地神と大斗乃弁神の意義はその解釈によって変わってきます。
- の場合、人間の住むべき居処の成立や泥や砂の状態だった大地の完成を表す説
- の場合、神の形から身体的な男女の性の具現(陰部)を表す説
- の場合は特にありません
1にある「泥や砂だった状態」とは宇比地邇神と須比智邇神が誕生した時のことを言っています。
その後、角杙神と活杙神の誕生により植物が育つ段階まで固まり、意富斗能地神と大斗乃弁神の誕生で人間が住める段階まで大地が固まったということです。
「宇比地邇神と須比智邇神」や「角杙神と活杙神」についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
宇比地邇神(うひぢにのかみ)と須比智邇神(すひぢにのかみ)とは【神世七世】
角杙神(つぬぐひのかみ)活杙神(いくぐひのかみ)とは【神世七世】
さて、神世七世や意富斗能地神、大斗乃弁神の意義については理解できたと思います。
ここまでの内容を踏まえた上で、次は意富斗能地神と大斗乃弁神それぞれの名前にある漢字の意味について解説します。
名前の意味

まず初めに意富斗能地神と大斗乃弁神は2神とも「門」や「性」にまつわる神です。
その理由について、これから名前を分解して漢字の意味を紐解き解説していきます。
なお、意富斗能地神と大斗乃弁神は対になる神なので漢字が違っても意味は同じになることがあります。
「意富」と「大」は対応しており、どちらも美称です。
「大」からわかるように、意味としては「偉大な」「大きな」と言った意味合いになります。
「斗」に関しては神世七世での解釈によってその意味が変わってきます。
- 人体における出入り口(門)である陰部、あるいは陰部に限らず性全体を表す説
- 身体に性を持った男女神の登場を表す説。または、通路としての「門」を表す説
- 集落や住宅の「門」に立てられた依代などのイメージとする説
「斗」は2神に共通していたり、意味合いが多いなどの理由から「神名の中核」だと考えられています。
「能」と「乃」の意味は同じで「斗」の助詞の役割をしています。
「地」と「弁」も対応しており、反対の意味になっています。
それぞれ「地」は男を表し、「弁」は女を表しています。
これらの意味から2神の神名は意富斗能地神が「偉大な門口の男」、大斗乃弁神が「偉大な門口の女」となります。
また、「斗」の意味合いである性に関する一面から「性器を象徴する神」とする場合もあります。
意富斗能地神と大斗乃弁神の解説は以上です。
最後に意富斗能地神と大斗乃弁神のことを祀っている神社を紹介して終わります。
神社紹介
熊野速玉大社
住所→〒647-0081 和歌山県新宮市新宮1番地
公式HP→https://kumanohayatama.jp/
二荒山神社
住所→〒320-0026 栃木県宇都宮市馬場通り1丁目1−1
公式HP→http://futaarayamajinja.jp/
波須波神社
住所→〒693-0525 島根県出雲市佐田町下橋波172
公式HP→不明
さいごに
いかがだったでしょうか?
意富斗能地神と大斗乃弁神についてだいぶ理解出来たのではないでしょうか。
当サイトではこのような記事の他に御朱印についての記事もあるのでそちらも覗いてみてください。
今回は以上です。
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最後までご覧いただきありがとうございました!
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