豊雲野神(とよくもぬのかみ)とは【神世七世】

祭神

神世七世について『古事記』にはこのように書いてあります。

次成ツギナリマシカミミナハ國之常立神クニノトコタチノカミツギニ豊雲野神トヨクモヌノカミ此二柱神コノフタハシラノカミ獨神成坐而ヒトリガミナリマシテ隠身カクリミニマス也。

次成ツギナリマシカミミナハ宇比地迩神ウヒヂニノカミツギニ妹洦比智迩神イモスヒヂニノカミツギニ角杙神ツヌグヒノカミツギニ妹活杙神イモイクグヒノカミツギニ意富斗能地神オホトノヂノカミツギニ妹大斗弁神イモオホトノベノカミツギニ於母陀流神オモダルノカミツギニ妹阿夜訶志古泥神イモアヤカシコネノカミツギニ伊邪那岐神イザナギノカミツギニ伊邪那美神イザナミノカミ

上件自カミノクダリヨリ國之常立神クニノトコタチノカミ以下シモ伊邪那美神イザナミノカミ以前マデアハセテマヲス神世七代カミヨナナヨト

国史大系(7)より

今回はここにある豊雲野神について解説していきます。

豊雲野神とは

豊雲野神の神名について『古事記』の原文では「雲」に対して「上」の声注(アクセントの注記)が付けられています。

これには固有名詞としての語調の転換を表示させることでその語構成を示す働きがあります。

このことから豊雲野とは「豊雲・野」ではなく「豊・雲野」の区切りであり、「雲野」が中核となって「豊」がそれを修飾する名前であると考えられています。

文字それぞれの意味としては「豊」が美称あるいは文字通りの豊さを意味しています。

「雲野」については「雲」か「野」のどちらに重点を置くかによって解釈の方向性が変わってきます。

「雲」に重点を置く場合

  • 「雲」は混沌として浮動するものの類で「野」はその広がり様を表している説
  • 「雲」が豊雲野神の後に続く神々を生成する場が混沌とした状態を気体とみなした表現で、天上と国土の間にある虚空の空間を雲になぞらえて具象的に表したものとする説

などがあります。

「野」に重点を置く場合

  • 雲の広がる原野という意味で原野形成の神格化とする説
  • 雲気の湧き漂う正気に満ちた原始の原野を神格化した説

などがあります。

また神世七世における豊雲野神の位置付けは1つ前に生まれた国之常立神からのつながりが考察されています。

国之常立神(くみのとこたちのかみ)とは【神世七代】

しかしこれも「雲」と「野」のどちらを重視するかで意見が変わってきます。

「雲」の性格を重視する場合は国土あるいは神々が生成される場の混沌としたとする理解がなされています。

これは天上と国土の間にある空間の存在を豊雲野神で表すことにより「皇室の権威の淵源たる神聖な隔離性」示そうとする『古事記』の構想が反映されています。

逆に「野」の性格を重視する場合は国土形成の過程における原野、大地の成立という理解がされています。

また、神名の豊雲野神という表記が正字なのか当て字なのかにも疑問が残ります。

『日本書紀』において豊雲野神を表す9つの名称(豊斟渟尊、豊国主尊、豊組野尊、豊香節野尊、浮経野豊買尊、豊国野尊、豊齧野尊、葉木国野尊、見野尊)には「雲」の字が1つもありません

『古事記』に出てくる豊雲野神の「雲」に関しても同じく当て字の疑いがあります。

これらの名前に「野」を含む名前が多いことから「野」を基本的な性格とする説があります

さらに最も多くの名前に含まれている「豊」を神名の原形とする可能性も指摘されています。

『古事記』において豊雲野神は国之常立神の次に生まれ、神世七世の中では2番目に生まれた神とされていますが、『日本書紀』においては天地開闢の後、国常立尊、国狭槌尊の次に生まれた3番目の神とされています。

また、『古事記』では獨神(性別のない神)とされる豊雲野神ですが、『日本書紀』では国常立尊、国狭槌尊とともに男神とされています。

神社紹介

宮浦宮

住所→〒899-4501 鹿児島県霧島市福山町福山2437

公式HP→https://www.kagojinjacho.or.jp/shrine-search/area-airaisa/%E9%9C%A7%E5%B3%B6%E5%B8%82/1247/

荒橿神社

住所→〒321-3566 栃木県芳賀郡茂木町小井戸325

公式HP→http://www.tochigi-jinjacho.or.jp/?p=249

さいごに

いかがだったでしょうか?

豊雲野神についてだいぶ理解出来たのではないでしょうか。

当サイトではこのような記事の他に御朱印についての記事もあるのでそちらも覗いてみてください。

今回は以上です。

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最後までご覧いただきありがとうございました!

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