宇摩志阿斯訶備比古遅神について『古事記』にはこのように書いてあります。
〜前略〜
如葦牙因萠騰之物而成神。
名宇摩志阿斯訶備比古遅神。
次天之常立神。
此二柱神亦獨神成坐而隠身也。
上件五柱神者。別天神。
国史大系(7)より
今回はこの宇摩志阿斯訶備比古遅神についてさらに深掘りしていきます。
最後には神社も紹介しています。
『古事記』の前略部分が気になる人はこちらをご覧ください。
造化三神(ぞうかさんしん)とは【別天神・天之御中主神・高御産巣日神・神産巣日神】
また、この記事はこちらを参考に書いています。
宇摩志阿斯訶備比古遅神とは

宇摩志阿斯訶備比古遅神とは神産巣日神の次に生まれた4番目の神です。
宇摩志阿斯訶備比古遅神という名前の意味は『古事記』の出現を語る部分からわかります。
如葦牙因萠騰之物而成神。
これは「葦の芽のように伸びる物によって成った神」といった意味です。
宇摩志阿斯訶備比古遅神の名前の意味はウマシ・アシカビ・ヒコ・ジで分けて考えることができます。
それぞれの意味はウマシは良いものを褒めた美称、アシカビは葦の芽、ヒコは男性のこと、ジは祖父や伯父のことでヒコジで男性の尊称となります。
ヒコの意味からわかるように宇摩志阿斯訶備比古遅神は男性的な活力を象徴する「活力の神」とされています。
またヒコジから人格神的な一面も推測されます。
宇摩志阿斯訶備比古遅神の神格は名前のアシカビが鍵になっています。
アシカビが葦の芽という意味であることから「葦の芽を神格化させた説」や「葦の芽から人類の始祖が誕生したといった神話を反映した説」があります。
葦の芽から人類の始祖が生まれた神話は中国南西や東南アジアからミクロネシア、ポリネシアまで多くの国や地域に存在します。
宇摩志阿斯訶備比古遅神は人類誕生の神話より世界樹的な意味合いが強いことから、数ある神話の中でもポリネシアの神話との類似が注目されています。
その一方でアシカビは比喩的な表現に過ぎず、宇摩志阿斯訶備比古遅神は「天上の神なので地上にある葦の芽ではないという説」もあります。
葦の芽ではない派の意見も多くあります。
- 国土の成長力を葦の芽の成長に例えて神格化した説
- 天地未分の混沌の中に立つ生命の樹あるいは天柱に相当する観念が葦によって象徴された説
- 現実世界にある生命という存在の根源となる天上における生命の具象化説
- 葦原中国の成立を見据えた命名でアシがその連想を含んでいる説
など多くの説があります。
獨神成坐而隠身也
この一文から宇摩志阿斯訶備比古遅神が獨神であることがわかります。
獨神とは男女の性別がない神のことです。
ヒコは男性って書いてあったのにどういうこと?と思うかもしれません。
この矛盾から分かるようにヒコとはあくまで男性的な活力を象徴する比喩的な表現ということです。
なので宇摩志阿斯訶備比古遅神は男性的ではありますが獨神なので性別はありません。
上件五柱神者。別天神。
この五柱とは造化三神(天之御中主神、高御産巣日神、神産巣日神)、宇摩志阿斯訶備比古遅神、天之常立神の5柱のことです。
この5柱をまとめて別天神と呼びます。
別天神(ことあまつかみ)とは【天之御中主神・高御産巣日神・神産巣日神・宇摩志阿斯訶備比古遅神・天之常立神・造化三神】
造化三神(ぞうかさんしん)とは【別天神・天之御中主神・高御産巣日神・神産巣日神】
高御産巣日神(たかみむすひのかみ)とは【別天神・造化三神・八神殿】
神産巣日神(かみむすひのかみ)とは【別天神・造化三神・八神殿】
神社紹介
浮嶋神社
住所→〒791-0213 愛媛県東温市牛渕584番地
公式HP→不明
高見神社
住所→〒805-0016 福岡県北九州市八幡東区高見1丁目1−1
公式HP→http://www.takamijinjya.com/
さいごに
いかがだったでしょうか?
宇摩志阿斯訶備比古遅神についてだいぶ理解出来たのではないでしょうか。
当サイトではこのような記事の他に御朱印についての記事もあるのでそちらも覗いてみてください。
今回は以上です。
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最後までご覧いただきありがとうございました!
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